


ラクスマン根室冬営の図(天理大学附属天理図書館蔵)
根室港は結氷しており、氷の上を男たちがソリで荷物を運ぶ様子が描かれている。
右側の陸地に煙が出ているロシア人の小屋。
もう一つの煙突はサウナからの煙が描かれている。

HISTORY OF
SAUNA IN JAPAN

日本に最初に
サウナが造られたのは、
いつなのか知っているだろうか。
それは、今から二〇〇年以上も昔。
寒さ厳しい北の大地「根室」に
ロシアの遺日使節団により
ロシア式住居と
蒸し風呂(サウナ)が
建てられたのだ。
そこには、伊勢国白子の港から
江戸へ荷物を送り届けるために
出帆した一艘の船「神昌丸」に
乗船し、遭難、漂流してしまった
大黒屋光太夫一行の
壮絶な物語があった。
北の黒船・
ラクスマン来航
ADAM LAXMAN
寛政四年(1792年)、東蝦夷地バサラン(現別海町茨散)の
沖合に一艘の異国船が出現した。
天明二年(1784)年に伊勢白子を出航し、ロシアに漂流した
大黒屋光太夫ら3人の日本人を故国へ送るために派遣された
ロシアの遺日使節の船である。
この船の名は「エカテリーナ号」といい、
アダム・ラクスマン率いる総勢41人が乗り込んでいた。


ロシア人の商人たちに保護され、数年をロシアで過ごした
光太夫一行は日本への帰国を求めた。
しかし、ロシアからの返答はロシアへの帰化を勧めるものであった。
光太夫は帰化を拒否。
結果、ロシアからの生活費の補助も打ち切られ、路頭に迷ってしまう。
そこに救いの手を差し伸べたのが、
フィンランド人のキリル(エリク)・ラクスマンだった。
キリル(エリク)は一行を連れて、ロシアの首都・ペテルブルグへ、皇帝、エカテリーナ二世の拝謁がかなった光太夫はついに帰国が許可される。
そして、キリル(エリク)・ラクスマンの次男、25際のアダム・ラクスマンによって日本に送還されることが決まった。1791年9月のことであった。
そして日本に到着したラクスマンは、日本人を江戸へ送り届けるために来航したことなどを語り、松前藩主に宛てた書簡を松前藩役人に手渡す。
ネムロに
冬がやってきた
NEMURO DAYS


ラクスマンは、幕府からの方針が確定するまで
根室の海岸に小屋を造り、越冬することになる。
根室は、雪と氷に閉ざされ、海は凍りついた。
根室港の弁天島に停泊したエカテリーナ号に1ヶ月交替の
警備兵だけを残し、光太夫らも上陸し、新築の宿舎に入る。
小屋からエカテリーナ号が係留されている弁天島まで
200mほどの距離を徒歩で渡れるようになる。

(ロシア軍事歴史古文書館蔵)

幕府や松前藩から派遣された人々も到着し、
日本人とロシア人の交流も生まれた。
ラクスマンは、滞在していた8ヶ月の間に、
根室でアイススケートや紅茶も伝えたとされている。
ネムロに造られた
日本最古の
フィンランド式サウナ
FINLAND SAUNA

建設された宿舎には、ガラス窓を填め込んであるロシア風蒸し風呂も造られた。
ロシア人の宿舎からは2つの煙が上がっており、ひとつの煙突からは暖炉からの煙。
もうひとつの煙はサウナからの煙のようだとある。

根室でのラクスマン一行(天理大学附属天理図書館蔵) 一番左側がラクスマン。左から三番目に大黒屋光太夫が描かれている
その後の
大黒屋光太夫
DAIKOKKUYA KODAYU

寛政五年(1793年)、松前で日本側に引き渡された
光太夫らは、7月に松前を出発し、同年8月に江戸に到着。
そこで、取り調べを受け、漂流経緯などを語る。
その後、蘭学者などから、ロシア事情を尋ねられ、
何種類ものロシア事情書や、漂流記が書かれた。



フィンランド サヴォリンナ市
サウナでまちおこし
研究グループ設立
SAUNA COUNCIL

株式会社 ヒシサン 代表取締役社長 岩﨑 祥治氏
サウナでまちおこし
「サウナ伝来の地」で
研究グループ設立
サウナが日本に初めて伝わった「伝来の地」として根室市をPRし、まちおこしにつなげようと小売業、不動産業などの地元企業や市の観光協会、根室市がメンバーとなり研究グループを立ち上げました。
根室は江戸時代の1792年にロシアの使者、アダム・ラクスマンが日本との通商を求めて来航した際に、日本に初めてサウナが伝えられた場所とされています。それなら歴史的経緯を生かし、サウナ人気が全国で高まっているなら根室でサウナ文化を新しい観光資源にしようというのが設立した目的でもあります。

本場サウナの地から
学んだことを活かしていきたい
活動の第一歩として2024年7月24日からフィンランドのサヴォリンナ市を訪問しました。エリック・ラクスマンゆかりの地などを巡り、根室で越冬した際に入ったとされるスモークサウナも現地で体験しました。公共の施設や市庁舎の中にもサウナが設置されているなど市民にとってサウナが身近な存在なんだと思いました。サウナを出て目の前のサイマー湖に飛び込んでクールダウンしている姿を見て、本当に楽しんでいるし、生活の一部になってると実感しました。根室がサウナ伝来の地であることをこれからどんどん広め、聖地として全国からサウナ好きが集まる場所になるよう活動していきます。







